>

与野党薄氷の決着

平成31年1月25日 琉球新報

「包囲網」狭まり自民決断
 辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票を巡り、県議会全会派は24日、県議会で各派代表者会議を開き、新里米吉議長が提案した選択肢を現在の2択から3択に増やす条例改正案に合意することを確認した。29日に臨時議会を開き、条例改正案を全会一致で可決する。与野党がまとまったことで、全市町村で県民投票が実施されることが確実な見通しとなった。
 辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票の全市町村実施に向けて、新里米吉議長が提案した選択肢を「3択」に増やす条例改正案を巡り、12時間に及ぶ攻防の末、与野党がまとまった。選択肢変更を容認する与党の方針決定を受けて開かれた24日の各派代表者会議では、野党自民が議長提案の3択には応じられないとして、独自の3択を逆提案した。ただ、自民以外の5会派と無所属議員は全市町村での投票実施のため議長提案に賛成することを冒頭から表明し、さらに不参加を表明した5市の中から県議会の全会一致に期待の声が上がるなど“包囲網”は強まり、自民も翻意することを決断した。
プライド
 「新聞紙面でしか見ていない。あまりにも急ぎすぎていないか」。24日午前10時、与野党初の顔合わせとなる代表者会議に出席した沖縄・自民会派長の島袋大県議(自民党県連幹事長)は開口一番、調整役を担った新里議長に対する批判をぶち上げた。背景には、29日の臨時議会招集というタイムリミットを前にした「プライド」(自民幹部)がある。
 3択案が議長から与党に正式に伝わったのは今月19日で、自民側に3択案が伝えられたのは各派代表者会議前日の23日夜だった。島袋氏の批判に新里議長は「時間がなく切羽詰まった段階にきているが、早い段階では言える話ではない。与党も昨日まとまった」と理解を求めた。新里議長の「賛成・反対・どちらでもない」という3択の提案を持ち帰って開かれた自民会派の議員総会では「今日の今日出された提案を簡単にのめるわけない」と反発の声が相次いだ。当初は午後3時の再開を予定していた代表者会議は、自民の協議が長引き休憩が続いた。
 午後4時半に再開された代表者会議で島袋氏が示したのは、選択肢に「普天間飛行場の辺野古埋め立ては」という文句を付けた上での「やむを得ない・反対・どちらでもない」という3択だった。
外れた思惑
 与党は自民が持ち出してきた選択肢に猛反発した。「(県民投票の)前提が崩れる。議長提案の3択でさえ、5市でできるようにするための苦渋の選択だ」(会派おきなわの瑞慶覧功会派長)など、これ以上の譲歩はないという「ゼロ回答」で即座に自民にボールを投げ返した。
 代表者会議が再び休憩に入って夜を迎え、自民の会派室では再度、議長提案で合意できるか膝詰めの協議が行われた。県連役員が公明議員の居室に何度も出入りするなど、この日で結論を見るのか議会内は緊迫した空気に包まれた。
 与党側は午前中にも各派代表者会議で全会一致がまとまれば、24日のうちに5市長の下に出向いて県民投票の事務実施に協力を求めることを想定していた。自民の抵抗が続いたことに与党幹部は「見通しが甘かった」と嘆いた。だが、全会一致による条例改正を新里議長に持ち掛け、自民との間に入って調整していた公明会派の金城勉県議(公明党県本代表)は「自民にも彼らとしての主張がある。時間を掛けて丁寧にやることだ」と全会一致に自信を見せていた。
 午後9時45分、3回目の協議が始まった代表者会議に出席したのは島袋県議ではなく、県連会長の照屋守之県議だった。「われわれの提案は取り下げ、議長提案を認めたい」と述べ、疲れた表情を浮かべた。
 県民投票の全市町村実施に向けもう一人の主役である玉城知事はこの日、終日県庁内にいた。当初は東京都内で開かれた沖縄観光感謝の夕べに出席する予定だったが、県議会の動きを受け、急きょ出張をキャンセルしていた。
 代表者会議の終了後、マスコミに囲まれた新里議長に玉城知事からの電話がかかってきた。玉城知事は「お疲れさま、良かったね」とねぎらいの言葉を掛け、全県実施へ政治的な解決の道へとかじを切った当事者同士で成果を確認した。

コメント