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屋良朝博議員 環境委員会初質問傍聴記

 2019年5月10日 衆議院環境委員会を傍聴してきました。

 屋良朝博議員の初質問。少々緊張気味の様子でしたが、質問が始まると堂々たる質問であった。以下報告する。(より詳しい質疑要旨は下のほうに掲載)

 屋良氏は最初に簡単な自己紹介し、質問に入った。
 この日はPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)についての質問である。
 「この2つの有機フッ素化合物は、母子への健康被害やアレルギーや感染症などの免疫機能への影響、甲状腺機能、生殖系ホルモンへの影響、さらに発がん性にもなり得るとの指摘があり、米国では2002年に主要メーカーが製造停止、生涯健康勧告値も70ナノグラムリットル以下と定めている。日本ではなぜ基準値が設定されていないのか」と質問した。
 これに対し環境省は「PFOSについては哺乳類等への影響、PFOAについては発がん性への影響が動物実験で認められているが、WHO等国際機関において耐容一日摂取量が確定しておらず国内の検出状況も増加傾向にない(ので設定していない)。PFOSについては既に第1種特定化学物質に指定されて製造、輸入が禁止されている。PFOAについては第1種特定化学物質の指定に向けた検討を行う予定である」と答弁した。
 「PFOS、PFOAについて環境省は調査しているのか」との質問に対しては、H28年度の平均値(PFOSで0.33ナノグラムパーリットル、PFOAで1.3ナノグラムパーリットル)等調査結果を説明。
 それを受けて屋良氏は「米軍基地の周辺、沖縄、横田、岩国ではこの平均値の百倍、1千倍位の検出結果が報告されている。普天間飛行場、嘉手納飛行場周辺では今年3月末にサンプリングした結果が608ナノグラムパーリットル。米軍の内部資料では3万ナノグラムパーリットルの有機フッ素化合物が検出されたとされている。
 国際社会が製造、輸入を禁止して、廃絶に向けて取り組んでいる化合物が異常な値で検出されている状況を環境省、厚労省はどう認識しているのか」と質した。
 これに対し厚労省は「水道法第43条を踏まえて沖縄企業局が関係機関と連携して水源の汚濁防止を図ることが重要だと考えており、ご相談いただければ厚労省として対応したい」、環境省は「PFOS、PFOAはWHO等国際機関で限度量が確定していないものの引き続きリスクに関する知見の集積に努めたい。在日米軍基地における環境問題は必要に応じ日米合同委員会の環境文化委員会を通して関係省庁において密接に連絡し在日米軍と協議することにしており、日米の規則を守るように働きかけているという状況だ」旨答弁した。
 そこで屋良氏が日米合同委員会に提起すべき防衛省に見解を求めたところ、「PFOS、PFOAはWHO等国際機関で限度量が確定されていない。リスクに関する知見の集積が必要な物質であることは認識しているが、河川や地下水から検出されても直ちに人の健康や生活環境に係る被害等の環境保全上の支障があると判断できかねる」と答弁した。
 「なんじゃこの答弁は」と私は怒りを覚えるとともに、あきれ返った。
 さすがに屋良氏も怒りを抑えた様子で「これは国際条約でなくしていこうという物質。そういう物質が特定地域で全国平均値をこれほど大きく(上回って)見つかっている。それをWHOで確定していないことのみで対応しないのは国の責任が宙に浮いている。
 沖縄県の精神的負担は計り知れなく費用負担も独自に捻出している。
 これは沖縄だけではない。横田田基地ではPFOS、PFOAが含まれている泡消火剤のタンクが漏れていた。三沢基地周辺でも泡消火剤の流出が確認され、岩国でも汚染物質の流出が報告されている。汚染物質は消火剤から直接出ていると考えられるので濃度は高いはずだ。それを「WHOの規定がない」「日本に基準がない」といって対応しないのは、国土の環境保全、安心して飲める水の確保をどうするのか。在日米軍基地という特異なケースということで放置していいのかと言う問題だ」として再度、環境省、厚労省、防衛省の見解を求めた。
 これに対しては3省とも「関係機関と連携しながら対応したい」旨答弁した。
 最後に屋良氏は、関係省庁との連携は不可欠だとして、連絡を密にして具体的、実効的な結論を早期に導き出して頂きたいとして質問を終了した。
 ところで最後の答弁で防衛省だけが「(防衛省としては)現実に即して、基準に照らしながら担当所掌を果たしたい」とわざわざ付け加えた。この「現実に即す」「基準に照らす」とは何か。「日米地位協定が現実であり協定に基準が無ければさわらないよ」という意味なのか。「担当所掌を果たす」と強調しているのは「汚染物質の流出防止は防衛省の所掌事務ではない」と言いたいのか。だとしたら残念だ。これは1省庁のみの問題ではない。環境大臣が答弁した「政府としてしっかり受け止めて対応したい」が当然だと思うのだが・・・
 屋良氏がFBで「防衛省の答弁はなんとも冷たい。人に寄り添い、国民を守る防衛行政とは土台無理なのか」と呟いているが同感である。

           屋良朝博議員質疑要旨
                         衆議院環境委員会(開会日:2019.5.10)
答弁者
〇原田義昭(環境大臣)  〇大口善徳(厚生労働副大臣)  〇鈴木貴子(防衛大臣政務官)
〇梅田(環境省 部長)  〇田中(環境省 局長)

(屋良)4月の補欠選挙で沖縄3区当選させていただきました屋良朝博です。国民民主党・無所属ク
 ラブです。初めての質問でございます。よろしくお願いいたします。今日はまずPFOS(ピーフォ
 ス)とPFOA(ピーフォア)、この2つの有機フッ素化合物に関するストックホルム条約の現状、規制
 について伺う。

(梅田)PFOSについては2010年8月に条約の付属書Bに追加され、国際的に特定の用途を除き製
 造・使用等が制限されている。PFOAについては本年付属書Aに追加され特定の用途を除き廃絶
 することが決定された。

(屋良)この2つの有機化合物については米国では2002年に主要メーカーが製造停止している。こ
 れは母子への健康被害やアレルギーや感染症などの免疫機能への影響、甲状腺機能、生殖系ホル
 モンへの影響があると言われていると理解している。発がん性にもなりえるとの指摘もあるが、
 条約機構の国際的な議論の現状、国内での議論、環境省の認識を伺いたい。

(梅田)いわゆるポップス条約、これは毒性、難分解性、生物蓄積性などを有する残留性有機汚染
 物質から人の健康、環境の保護を図ることを目的としている。健康影響については専門家会合で
 PFOSについては哺乳類等への影響、PFOAについては発がん性への影響が動物実験で認められて
 いる。こうしたことから一部メーカーでは自主的に代替物質への転換が進んでいる。

(屋良)健康への被害が懸念されるなかで国際的にそれを制限しようとの流れがあると理解してい
 る。いくつかの国では独自に基準値を定めて対応している。米国では飲料水に関する生涯健康勧
 告値を2016年までのPFOS、PFOA合わせて200ナノグラムリッター以下からさらに厳しく70ナノグラムリッター以
 下と定めている。日本ではなぜ基準値が設定されていないのか。

(田中)PFOS、PFOAについてはWHO等国際機関において耐容一日摂取量が確定していない。国
 内の検出状況も増加傾向にない。PFOSについては既に第1種特定化学物質に指定されて製造、輸
 入が禁止されている。PFOAについては第1種特定化学物質の指定に向けた検討を行う予定。公共
 用水域に関する要調査項目として位置づけており情報・知見の収集に努めている。

(屋良)(PFOS、PFOAについて環境省は)サンプリングは定期的に行っているのか。その結果は
 どうなのか教えてほしい。

(梅田)環境省は科学物質環境実態調査を行っている。PFOS、PFOAについては毎年46都道府県で
 調査を実施している。H28年度の調査結果ではPFOSは最小値が0.023ナノグラムパーリットル、最大値が
 14ナノグラムパーリットル、平均で0.33ナノグラムパーリットルでした。PFOAは最小値が0.26ナノグラムパーリットル、最大
 値が21ナノグラムパーリットル、平均で1.3ナノグラムパーリットルという結果です。

(屋良)文献によるとプールのなかに食卓食塩3粒入れると1ナノグラムらしいので、国内ではかなり微
 量な単位で制限されていると理解する。
  ところが米軍基地の周辺、沖縄、横田、岩国ではこの平均値の百倍、1千倍位の検出結果が報 
 告されている。3年前から普天間飛行場、嘉手納飛行場周辺の地下水から高濃度で検出されてい
 る。嘉手納飛行場近くを流れる河川の(飲み水を取る)取水ポンプ場から今年3月末にサンプリ
 ングした結果が608ナノグラムパーリットル。この水はかなりの人たちが飲み水としている。
  また情報公開制度で入手した米軍の内部資料によると3万ナノグラムパーリットルの有機フッ素化合物が
 検出されたと記されている。米軍が使っている泡消火剤にPFOS、PFOAが含まれており、また、
 泡消火剤に含まれる特定の物質が検出されており、嘉手納基地由来であるとの蓋然性が極めて高
 いとの報告である。
  国際社会が製造、輸入を禁止して、廃絶に向けて取り組んでいる化合物が異常な値で検出され
 ている状況を環境省、厚労省はどう認識しているのか。対応策を講じる必要はないのか、見解を
 伺いたい。

(大口)ご指摘のとおり比謝川取水ポンプ場などでPFOS、PFOAが検出されているという状況は承
 知している。沖縄県企業局が水道水中に含まれるPFOS等の濃度低減処理をしており、そのため
 費用が掛かっている事も承知している。厚労省としては水道法第43条を踏まえて沖縄企業局が関
 係機関と連携して水源の汚濁防止を図ることが重要だと考えており、ご相談いただければ厚労省
 として対応したい。

(原田)在日米軍基地における環境問題は必要に応じ日米合同委員会の環境文化委員会を通して関
 係省庁において密接に連絡し在日米軍と協議することにしている。PFOS、PFOAはWHO等国際
 機関で限度量が確定していないものの引き続きリスクに関する知見の集積に努めたい。一般論だ
 が外国軍体等は受け入れ国の法令を遵守してもらわなければならない。日米地位協定では米軍厚
 生委員等が「我が国の法令を尊重する義務を負っている」旨を確認している。米軍内でも日本に
 向けて環境管理基準「JEGS」を作って環境管理を行っている。環境省としては米側が引き続
 き環境文化委員会を通じて協議を行い、併せて日米の規則を守るように働きかけているという状
 況だ。

(屋良)この問題は3年間放置されてきた。嘉手納基地由来であろうということから沖縄防衛局に
 もお願いしてきた。また本来なら日米合同委員会の環境文化委員会で対応するはずだと期待した
 が3年が過ぎた。防衛省にお願いしているが日米合同委員会は開かれる予兆もない。飲み水は国
 内の平均値を何千倍と上回る汚染が発見されている。その間沖縄企業局は活性炭を使って除去し
 たりして一人頑張っている状況。なぜこのような状況がおきているのか。日米合同委員会に提起
 すべき立場の防衛省にご見解を伺いたい。

(鈴木)前提条件としてPFOS、PFOAはWHO等国際機関で限度量が確定されていない。引き続き
 リスクに関する知見の集積が必要な物質であるということは防衛省としても認識しているが、河
 川や地下水から検出されても直ちに人の健康や生活環境に係る被害等の環境保全上の支障がある
 と判断できかねるということをご理解いただきたい。

(屋良)これは国際条約でなくしていこうという物質。そういう物質が特定地域で全国平均値をこ
 れほど大きく(上回って)見つかっている。それをWHOで確定していないことのみで対応しな
 いのは国の責任が宙に浮いているのではないか。
  沖縄県は、原因が究明されない、汚染されているかもしれない取水源に頼らなくてはいけない 
 という精神的負担は計り知れなく、活性炭の使用やサンプリングに係る費用負担も独自に捻出し
 ている。
  これは沖縄だけではない。米軍の資料によると横田田基地では泡消火剤のタンクが1年以上の
 期間空になるまで漏れていた。その消火剤にはPFOS、PFOAが含まれていたが、「日本ではJE
 GS(日本環境管理基準)の基準がない」との記述がある。米国は自国に基準があるが日本には
 ない。比較してより厳しい基準を採用すべきだが、「基準がない」「WHOの限度量が確定して
 いない」と言って国内で全国平均値の何百倍、何千倍の汚染が報告されているのに放置してい
 る。このことはおそらく今後長期間悩まされる問題。このことをどう思うかだ。三沢基地周辺で
 も泡消火剤の流出が確認され、岩国でも汚染物質の流出が報告されている
  汚染物質は直接消火剤から出ていると考えられるので濃度は高いはずだ。それを「WHOの規 
 定がない」「日本に基準がない」といって対応しないというのは、国土の環境保全、安心して飲
 める水の確保をどうするのかということだ。在日米軍基地という特異なケースということで流し
 ていいのかと言う問題だと思うが環境省、厚労省、防衛省の見解を伺いたい。

(原田)委員のご指摘は深刻な話だと思う。3年間置き去りになっていたというのは問題だ。政府
 してしっかり受け止めて調査をして対応したい。

(大口)PFOS、PFOAは要検討項目となっている。水道水の品質状況、最新の科学的知見の情報収
 集をしっかりして、関係機関と連携しながら対応したい。

(鈴木)沖縄の皆様がPFOS等の検出で不安を抱いていることを重く受け止める。これまでも関係
 省庁、沖縄県の皆様とも連携をさせていただきましたが、引き続き情報の共有とさらなる連携を
 させていただきたいと思っている。また沖縄県、米側とも密接に連携していきたい。防衛省とし
 ては現実に即して、基準に照らしながら担当所掌を果たしたい。

 -「遅いですよ、遅いです。3年間ですよ」との委員の声あり-

(屋良)3年間放置されてきて、沖縄県が支出してきた費用はどうなるんですかと私自身個人的に
 も実に不満、不安。この国の環境行政への疑問を禁じえない。環境は全人類的な問題で米軍の
 フェンスがあろうが我が国の国土でありちゃんと保全していこうというのが基本的なスタンスだ
 と思う。
  関係省庁との連携は不可欠。連絡を密にして具体的、実効的な結論を早期に導き出して頂くようお願いして質問を終わります。

※PFOS、PFOAとは?
【環境省「国内等の動向について(PFOS)」資料7-2より抜粋】

 有機フッ素化合物のうち、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)やパーフルオロオクタン酸(PFOA)は安定な構造をしているため環境中で分解されにくく、高い蓄積性も有するため、環境水中や野生生物中に広範囲に存在していることが知られるようになった。そのうちPFOS については、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs 条約)」を始めとして、国内外でさまざまな規制等が行われるようになってきた。
 PFOAについては現在、国内での使用制限はありませんが、2015年にデュポンや3M、旭硝子、ダイキン工業などの主要フッ素化学メーカーによる自主的な使用廃止がされています。また、世界保健機構(WHO)の外部組織である国際がん研究機関(IARC)がPFOAをグループ2B(発がん性のおそれがある物質)として分類したほか(IARC Monographs Vol.110, 2017)、2017年6月には欧州連合における化学物質の使用や制限に関するREACH規則の使用制限の対象となりましたので、今後は国内でも規制が進むかもしれません。

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